なぜワインに酸化防止剤が入っているのか
「酸化防止剤(亜硫酸塩)ってなんですか?」とか、「どうして酸化防止剤が入っているのですか?」という質問をよくされます。
販売されている一部のワインには、大きく「酸化防止剤無添加ワイン」と書かれたものがあり、そうしたワインを目にする機会が増えて、いかにも「酸化防止剤」が入っているワインは身体に悪いように思えるからでしょうか。
フランス国内で販売しているワインには入っていないのに、日本に輸入するワインには酸化防止剤が入っていると仰る方もいらっしゃいますが、実はフランスでは表示義務がないと言うだけで、フランス国内で流通しているほとんどのワインに酸化防止剤は添加されています。
酸化防止剤はその名前のせいか、いかにも近年の科学技術が生み出した悪いものという印象を受けますが、歴史的にはかなり古くから使われており、すでにローマ時代ではワインを仕込む前に大きな樽の中の雑菌を殺菌するために、樽の中で硫黄を燃やし、その煙「二酸化硫黄(亜硫酸塩)」で消毒していたのです。
二酸化硫黄(亜硫酸塩)は殺菌効果があるだけでなくワインを酸化から守る役目も果たしています。ワインはよくリンゴに例えられるように、密閉されていたコルク栓を抜くのと同時に、皮を剥いたリンゴのように、ワインは酸化を始めてしまいます。ワインを仕込むときに使われる二酸化硫黄は、瓶の中に入ってきた酸素とくっついて、酸化を防いでくれる役割があるのです
日本では、酸化防止剤の添加量は食品衛生法で定められており、輸入ワインについても、分析表を提出しなければ輸入できないなど厳しく規制されています。
もちろん、使用されている量も微量で、人体に悪影響を及ぼす恐れはありません。
「健康志向の人から最近注目を集めている有機栽培のぶどうで造られた「ビオワイン」にも、添加量は極力少なくしているものの、酸化防止剤は入っていることが多いです。
名前は少しいかついのですが、「酸化防止剤」はワインにとってとても大切のものなのです。