ワインは古いほどおいしくなるのか
ワインは「古くなるほどおいしくなる」と思っておられる方が結構たくさんおられます。 セミナーでの質問の中でも多いように思います。
ワインの飲みごろは、ワインのタイプによって異なりますが、赤・白・ロゼの別や、ぶどうの品種、おおよその産地や造り手によって判断することが出来ます。
白ワインだと、ロワール地方のミュスカデやラングドック地方のソーヴィニヨン・ブランなど、フレッシュさを楽しむようなワインで2~3年、同じソーヴィニヨン・ブランでも、ボルドーのボディのあるワインや、シャルドネから造られたしっかりしたボディに仕上げてあるようなワインでは10年ぐらいで飲みごろをむかえるワインがほとんどです。
ロゼワインだとごく一部を除いて2~3年までに飲んで頂いたほうがよいでしょう。
赤ワインは比較的熟成を楽しめるワインが多いのですが、数十年の熟成を楽しめるのは、一本数万円を下らないボルドーのトップシャトーやブルゴーニュの特級畑のワインのみで、たいていの赤ワインは10年ぐらいで飲むのが無難でしょう。
何十年も熟成が可能なワインは、ごくわずかなのです。
ですから、「昔お土産に頂いた、なんだか高そうなワイン」などは、ついつい長く眠らせてしまいがちですが、実は10年ぐらいをめどに飲んであげたほうが良い場合が多いです。
私がこれまで飲んだワインワインの中で、最も古かった白ワインは1937年のドイツワイン、「シュタインベルガー・トロッケンベーレン・アウスレーゼ」です。このワインは貴腐ワイン(極甘口のデザートワイン)ですが、50年の熟成を経て、色はウイスキーのような琥珀色でした。
赤ワインでは、100年ほどたったボルドーの一級シャトーのワインを飲む機会があったのですが、抜栓時はとても長期に熟成した褐色のワインでしたが、時間とともにみるみる色が落ちていき、素晴らしいというよりは、なんとかまだ生きていたという状態でした。
飲みごろを過ぎてしまうと、香りが弱くなり、味わいもやせ細った感じになってしまい、せっかくのワインの良さが発揮できませんので、飲みごろを知って、美味しいワインを楽しみたいですね。