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ワインの通信販売・ワインセミナー講師「ワインコンシェルジュまこと-ワインの数だけ物語がある-」

ボジョレー・ヌーヴォー

ボジョレーヌーヴォー

ワインに詳しい方や、特に赤ワインがお好きな方の中には、「ボジョレー・ヌーヴォーは薄い」「美味しくない」「好きじゃない」とおっしゃる方が結構多くいらっしゃいます。

また、そういう話を聞いて「ボジョレー・ヌーヴォーは美味しくないって聞いたんですが、本当ですか?」という質問もたまに受けます。

何となく「ワインに詳しい」=「ボジョレー・ヌーヴォーは好きではない」の式が成り立ってしまっているような風にも感じられる昨今ですが、私はそうは思いません。

私は赤ワインが好きですが、ボジョレー・ヌーヴォーも「薄い」とも「美味しくない」とも思いません。
まあ実際「じゃあ、大好きなのか」と聞かれれば、そこまでではないと答えますが(笑)
毎年、解禁日には美味しく新酒を飲ませて頂きますし、ボジョレー・ヌーヴォーはボジョレー・ヌーヴォーの楽しみ方があると思っています。

ボジョレー・ヌーヴォーは赤ワインだと思って飲むから好きになれないのであって、赤い色をした白ワインと思って頂けばいいのです。

そもそも、ボジョレー・ヌーヴォーは基本的に一般的な赤ワインと製法が違うのです。
一般的な赤ワインは黒ぶどうの皮・果汁・種を一緒に発酵させるのですが、ボジョレー・ ヌーヴォーは少しだけ皮や種の渋みが溶けだした果汁だけを発酵させるのです。

ボジョレー・ヌーヴォーが出来るまで

まず、ぶどうを房ごと縦長の深いタンクに入れ、ふたをして密封します。
すると、タンクの底の方では、ぶどうの重みでつぶれた果汁がぶどうの皮に付いている天然酵母により発酵を始め、発酵による炭酸ガスがタンクに充満します。そのため、タンク内の温度が上がり、ぶどうは蒸されるような状態になり、皮の色素は果汁の中に溶け込みます。アルコール度数が2度ぐらいになった時、ぶどうを絞ると赤く甘い、少し炭酸ガスを含んだ温かい果汁ができ、さらにこの果汁を発酵させるとボジョレー・ヌーヴォーが出来上がります。

一般的な赤ワインの場合は、皮・果汁・種を含んだ状態で発酵させる為、その発酵の間に種からワインに含まれるタンニン(渋み成分)の80%以上が出ます。残りの渋みは皮から出ます。

これに対して、ボジョレー・ヌーヴォーは早い段階で種や皮を取ってしまうので、非常にタンニンの少ない赤ワインになります。
ですから、製法からみても、ボジョレー・ヌーヴォーは「赤い色をした、ちょっぴり渋みを含んだ白ワイン」の方が近いのです。 ですので、一般的な赤ワインと違って、少し冷やしたほうがおいしい赤ワインなのです。

ボジョレー・ヌーヴォーの歴史

ボジョレー・ヌーヴォーは毎年、今年のワインの出来や解禁日前の様子がニュースになり誰もが知っているワインになりました。
そもそもボジョレー・ヌーヴォーが生まれたのは1951年です。
第二次世界大戦中、ワインはフランス政府の管理下にあり、自由に売買できませんでした。
1950年になって、ようやく認められるようになりましたが、政府は収穫されたブドウは発酵が終わったのち、12月15日以降しか出荷してはいけないと通達を出しました。

これに驚いたのは、早飲みワインの産地ボジョレーのワイン生産者たちで、すぐに政府に抗議をしましたが、なかなか認められず、何度も早期の出荷許可を訴えました。
1951年になってぶどうの収穫も終わり、ワインが出来上がる頃、そのワインを持って交渉したところ、ワインの品質を確認した政府はその日(11月13日)から特例としてボジョレー地区の出荷を認めました。

解禁日とは?

では、解禁日はどのように決まったのでしょうか。

その後ボジョレー地区のワインは出来上がればすぐに出荷してもよいことになり、他の醸造所よりも早く出荷すれば良く売れるので、早出し競争が起こりました。
そのため劣悪な品質のヌーヴォーが市場に出回るようになり、ボジョレー・ヌーヴォーの評判を落としかねない事態となったため、1967年にフランス政府は早すぎる出荷を規制し、事前に品質検査を義務付け、解禁日を11月15日に決めました。

ところが11月15日が土日(昔は安息日である土日は働くことが禁じられていた)の年は、運送業者が休みの為出荷することが出来ず、解禁日にヌーヴォーを販売できませんでした。
それを不満に思っていたにレストランやホテルがずっと改善を訴えてきましたが解決策は見つかりませんでした。

そんな中、1984年の11月15日は木曜日で、ヌーヴォーの配送や販売がとても順調に運びました(木・金曜日で配送は完了し、週末のお客様が多い時に販売が出来たため)。あまりにうまく事が進んだので、「解禁日は日にちではなく、木曜日にすれば全ての年で配送がスムーズにいくのではないか」と関係者からの意見が出ました。
その結果翌年の1985年から解禁日は11月の第3木曜日に変更になり、週末にはレストランやホテルでもゆっくり楽しめるようになったのです。

日本でボジョレー・ヌーヴォーに火が付いたのは1998年です。
この年ボジョレーワイン委員会は、ボジョレーワインの解禁日前にフランスから日本への出荷を認めました。 その結果、11月第3木曜日の午前0時に日本の飛行場の保管場所(保税地)から出荷できるようになり、「世界で一番早く、ボジョレー・ヌーヴォーを飲める国(経度の関係により)」とマスコミに大きく取り上げられ、日本で大変なブームになりました。

カテゴリ: 投稿日:2016-03-23